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■『直流共鳴』方式とは
村田製作所は2013年3月、ワイヤレス給電の新しい技術として「直流共鳴(Direct Current Resonance)方式」を開発したと発表した。(関連記事はこちら、 参考資料はこちら

直流共鳴方式は、高周波交流源は用いず、スイッチング技術により、直流電力源から共鳴周波数で変化する電磁界共鳴フィールドをつくって電力を伝送する方法です。
そのため、高周波交流への変換回路や整合回路が不要で、システム全体の電力伝送効率を飛躍的に高めることができます。応用範囲はかなり広く、小型電子回路、携帯機器、EV等の小電力から数kWの大電力、近距離から数mまでのあらゆる非接触給電を実現可能とし、世界を大きくリードする画期的な有望最先端技術です。
「利用者に価値のあるワイヤレス給電とは?」。この議論こそ「直流共鳴」方式の推進力です。自己満足ではイノベーションは起こりません。 高度生産設備の普及とともに新興国は勢いを増し、私たちは 「元気がない、優柔不断な国民」とも言われます。そんなことはありません。現場のエンジニアは頑張ってます。「技術力」と「現場力」、これが私たちの強みです。優れたチームワークは世界に誇れます。会社や研究所を担うエンジニアが、枠を越えて『共創』(信頼関係のある協力、協業)することで、イノベーションが起こります。アイデアがない、ではなく、お互いの成功のために力を合わせるのです。自前にこだわらず、内外の技術を融合し、協力する方が近道です。
村田製作所の開発者は1994年に「磁界共鳴技術」を発表しました。しかし、今やワイトリシティ(MIT大学)が有名です。でも実用化はこれからです。「オープン・イノベーション」が重要です。やるべきことはたくさんあります。2007年のMITの報告では、400Wを投入して60Wの電球を点灯。電力効率は15% とあまりにも低いです。私たちは、15年以上前に電力効率77.7%を達成しています。
電磁誘導方式にも悩みはあります。送受電コイルに銅(巻線)と鉄(磁性体)を用います。 銅と鉄は重く、小型機器では、スペース確保のためにバッテリ容量を減らさざるを得ません。空間に生じる磁束は電磁雑音を発生し、普及とともに電磁干渉問題は深刻化します。磁性体は割れやすく衝撃に弱いです。電磁誘導方式で対応できない場合は、「直流共鳴」がお勧めです。
「直流共鳴」方式は、「共鳴フィールド」と呼ぶ新しい物理現象、新しい技術思想を用いた科学技術です。電気と電磁界のエネルギーを変換します。スイッチング技術により、直流電力源から共鳴周波数で変化する電磁界共鳴フィールドをつくって電力を伝送します。

■資料

WPT2013-16(PDF形式)
WPT2011-22(PDF形式)
WPT2012-23(PDF形式)
Dempa AEI JULY 2013_2(PDF形式)